産業廃棄物収集運搬業や処分業の新規・更新の許可申請においては、役員等が「講習会」を受講し、修了証を取得する必要があります。
いざ許可の申請をしようとした際、そもそも講習会の存在を知らなかったり、取得したい許可に適した講習会の区分を受講できていなかったりすると、許可申請が大幅に遅れてしまう事態に陥ることもあります。
新規許可申請をお考えの方、また更新時期が近づいている方は、本記事をしっかりご確認いただきたいです。
講習会の概要
産業廃棄物処理業の許可申請をする場合には、「公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター」が主催する講習会を受講して修了証を取得する必要があります。
講習会を受講するには、センターのホームページから該当のページに進み、受講の予約を取ります。
取得したい許可に使える修了証を取得できる講習の区分を選択し、空いている日程の一覧へと進んでいきます。
日程一覧に進むとお分かりいただけるかと思いますが、思ったより先の日程まで予約が埋まっています。許可申請を行う際には、まず講習会の日程から押さえていくことが重要です。他の書類が揃っていても講習会の修了証がなければ申請を行うことはできません。
自治体によっては、講習会を予約した旨が分かるメールの文面の資料などで申請を受け付けてくれるところもあります。講習会の予約がだいぶ先になってしまった場合になどには、まず予約の文面を添付し、申請を受け付けてもらえるか相談してみるのも良いかもしれません。
ただし、結局は修了証を提出しないと許可申請の審査は進みませんので、修了証を取得するまでは許可を取得することはできないと考えておきましょう。
講習会の種類
講習会を受講する際は、下記の組み合わせ(12種類)から、自社が取得したい許可に当てはまるものをきちんと選んで受講することが大切です。
例えば、新規で普通産廃の収集運搬業の許可を取りたい場合には、①の講習会を受講することになります。
新規or更新 | 産廃or特管 | 収集運搬業 | 処分業 | 両方 |
---|---|---|---|---|
新規 | 産廃 | ①25,300円 (12時間) | ②39,600円 (19時間) | ③57,200円 (21時間) |
特管 | ④37,400円 (16.5時間) | ⑤56,100円 (24時間) | ⑥83,600円 (27時間) | |
更新 | 産廃 | ⑦16、500円 (6時間) | ⑧20,900円 (9時間) | ⑨33,000円 (10.5時間) |
特管 | ⑩16、5000円 (6時間) | ⑪20,900円 (9時間) | ⑫33,000円 (10.5時間) |
受講のポイント
取得したい許可に応じた講習会の受講が必要ですが、ピンポイントに該当する講習会を受講する必要はありません。下記の例のように、特定の講習会を受講すれば他の講習会をカバーできるものもあります。(カバーできる範囲の広い講習会は当然ながら、受講料や受講金額が高くなります)
- 「特管」の修了証は「普通産廃の許可申請でも使える
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「特管」は「普通産廃」よりも厳しい管理が求められる品目を扱いますので、「普通産廃」の講習会の内容もカバーできるという考え方です。
例えば新規の産業廃棄部収集運搬業の許可申請の場合、④(特管)の修了証を使うことができます。「普通」・「特管」の許可を両方取りたい場合には、「特管」の修了証一つで両方の許可申請が可能です。
逆に、特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可申請の場合には、①(普通産廃)の修了証では、「特管」の許可申請の書類としては使えません。
- 新規の修了証は更新の許可申請でも使える
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【新規】の講習会の修了証は、【更新】の許可申請でも使用することができます。【新規】の修了証の有効期限は5年間(更新は2年間)ですので、たとえば、収集運搬業の複数都道府県の許可を持っていて、すべての許可期限が3年に渡っている場合には、【新規】の講習会を1回受講するだけですべての許可更新をカバーできますが、【更新】の修了証を使う場合には、【更新】の講習会を2回受講しなければなりません。
逆に、新規の許可申請を行う場合には、【更新】の修了証は使えません。必ず【新規】の講習を受けて、【新規】の修了証を添付する必要があります。
逆に、例えば処分業の許可を持っていて、新たに収集運搬業の許可を取りたい場合に、処分業許可の更新の際に受講した更新の修了証を、新規の収集運搬業の許可申請に使うことはできません。
- 収集運搬課程の修了証は処分業の許可申請には使えない(逆も同じ)
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上記の表のように、講習会の区分には「収集運搬課程」、「処分課程」があります。収集運搬業の許可申請には、「処分課程」の修了証を使うことはできません。逆も同じです。
収集運搬業の許可をすでに持っている場合に、他県で新たに収集運搬業の許可を取る際には、新規の修了証が必要ですか?
別の都道府県で許可を持っている場合、他県では新規の許可申請であっても、更新の修了証でOKな自治体があります。詳細は、各都道府県の窓口に問い合わせてみてください。
受講の手順
なるべく移動距離が少なく、近い日程の講習会を受講するのが基本です。ただ、とにかく最短で許可を取る必要がある場合には、例えば沖縄在住で沖縄県の許可を取りたい人が来週、北海道で開催される講習会を受講することもできます。
コロナ禍以降、講習自体はオンラインでの受講になっています。試験までにオンラインで講座の受講を終了しておく必要があります。
試験時間は40~70分、マークシート方式の試験です。試験に無事合格すると、修了証が後日郵送されます。
講習会の受講対象者
講習会自体は、誰でも受講が可能です。ただし、許可申請においては、社内の誰でも良いわけではありません。下記の表に該当する者の修了証でなければ、許可申請の添付書類としては使えません。
許可取得の主体 | 受講対象者 |
---|---|
個人 | ①申請者本人、②政令使用人 |
法人 | ①法人代表者、②登記されている役員、③政令使用人 |
政令使用人とはなんですか?
廃棄物処理法施行令において、「申請者の使用人であって、本店又は支店の代表者、又は継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、廃棄物の収集運搬または処分の業に係る契約を締結する権限を有するものを置くもの」と規定されています。
簡単に言うと、会社の支店の支店長などが政令使用人に該当するイメージです。
まとめ
以上、産業廃棄物処理業の許可申請に必要な講習会について解説しました。許可期限の管理とともに、講習会の有効期限管理も重要です。すでに許可をお持ちの事業者は、自社にとってどのタイミングで・どの講習会を受講すべきか、これから許可を取得する事業者は、どの講習会を受講しなければならないか、ぜひしっかり検討してみてください。
当事務所でも新規・更新時の許可申請のご支援の際、講習会の受講についてもしっかりサポートさせていただきます。ぜひ気軽にお問い合わせください。