会社を作って起業したい!個人事業を法人化したい!
そういったときに真っ先に思いつく法人は「株式会社」ではないかと思います。
株式会社は営利法人の中で最もメジャーで社会的な信用度も高い法人であるため、法人の設立を考えた時に真っ先に選択肢になる法人格です。
この記事では株式会社の設立の方法・流れ・費用等を解説していきます。
設立の手順
株式会社を設立する流れは大まかに下記の流れとなります。
- 法人の基本事項を決める
- 法人の印鑑を作成
- 定款作成
- 定款認証
- 資本金の払い込み
- 登記申請
それでは各手順について詳細に見ていきます。
株式会社を設立したいと思ったらまずはその会社の基本情報を考えていきましょう。
社名(商号)は何にするか、所在地はどこにするかなどです。
最低限、初めに考えておきたい事項は下記の内容です。
これらは定款でも規定する内容ですので、早い段階から考えておくと良いでしょう。
- 社名(商号)
- 事業目的
- 株主や役員の構成
- 所在地
- 資本金の額
- 設立日
- 決算(会計年度)
法人の印鑑は登記申請時、設立後の法人用の銀行口座開設の際にも必要になります。注文から実際に手元に届くまで1週間程度かかりますので、定款作成と同時進行で進めておくと良いでしょう。
作成方法は、①地域のはんこ屋さんで注文する、②ネットで注文するどちらでも構いません。
- ①地域のはんこ屋さんで注文する
-
どういう材質にするか、どういう字体にするかなど色々と相談に乗ってくれますので安心です。費用はネット注文よりも高くなる可能性が高いです。
- ②ネットで注文する
-
特にこだわりが無ければ、ネット注文で購入したほうが費用も安く抑えられ、実際にお店に出向く必要がないので忙しくてお店に行く暇がないという方はネット注文が良いかと思います。
ネット注文であれば、ハンコヤドットコムなどがあります。
https://www.hankoya.com/shop/c_houjin.html
定款は、法人の憲法と呼ばれるように、その法人の基本事項を記載する重要なものです。定款には絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項の3つの項目があります。絶対的記載事項は、定款において必ず規定しておかなければならない事項で下記の6つです。
- 商号
- 目的
- 本店の所在地
- 設立に際して出資される座資産の価額又はその最低額
- 発起人の氏名及び住所
- 発行可能株式総数
定款作成は一から作成するのではなく、下記の日本公証人連合会などのサイトに出ている記載例を参考すると、絶対的記載事項などの記載漏れなく作成ができます。
https://www.koshonin.gr.jp/
これら絶対的記載事項は法人の登記事項でもあります。登記事項は変更があった場合に、法務局へ変更登記申請が必要になり、その都度登録免許税が発生してしまうので、なるべく変更がないように検討する必要があります。
特に注意すべきなのは「目的」です。許認可が必要な事業であれば、定款にその事業目的を記載しておかなければ許可を取得することができません。
例えば、リサイクルショップを営業するために株式会社を設立する場合、営業するにはその法人が古物商許可を取得する必要があります。この場合、定款の目的に「古物営業法による古物商」であったり、「中古貴金属類の買取、販売」などと記載がない場合には、許可の申請の前に定款の変更をしなければ許可が下りません。
その他、記載する文言にも注意を払いましょう。例えば、不動産業を行う会社を設立する場合に、単に「不動産業」と記載するよりは、不動産の「売買」「仲介」「賃貸」を行うのであれば、「不動産の売買、仲介、賃貸業」と記載しておきましょう。行政機関によっては、定款の文言を変更するように指導を受ける場合があります。
定款を作成したら、その法人の本店所在地がある都道府県の公証役場でその定款の認証を受けます。都道府県ごとに複数の公証役場がありますが、同県内であればどの公証役場でも構いません。テレビ電話による認証を行わない場合は、最寄りの公証役場で認証を受けるのが良いでしょう。
各公証役場、各公証人によって若干異なりますが、定款認証を受ける際は、まずは認証を受ける公証役場に問い合わせて、定款の内容や認証に必要な添付書類の内容の確認を受けます。その際に注意事項などを事前に確認しておくとスムーズです。
定款認証には通常、定款の印紙代として4万円が必要になりますが、電子認証の場合にはこの印紙代4万円が不要になります。ただし、この電子認証を行うには、カードリーダーなどの機器を揃えたり、専用サイトにアカウントを作成したり、初めて行うのはかなりハードルが高いです。
定款で規定した資本金の金額を金融機関に払い込みます。この時点で法人はまだ設立されていませんので、発起人個人の銀行口座で構いません。
資本金の払い込み後、2週間以内に法務局へ登記申請を行います。登記申請を行う法務局は、すべての法務局が受け付けてくれるわけではなく、各エリアの法務局(中国エリアであれば広島法務局)、各都道府県の地方法務局(本局と呼ばれる法務局で各都道府県に1つあります。山口県の場合、山口地方法務局です。)でなければ登記申請の受付はされていませんのでご注意ください。
申請に必要な書類は法務局のホームページに記載されています。
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/touki2.html
※登記申請の代理や相談は、司法書士の先生へご相談ください。
設立の費用
株式会社の設立に必要な費用は下記の通りです。参考までに合同会社との比較表で記載しましたが、株式会社は社会的な信用度が高い分、合同会社に比べると設立費用は割高になります。
項目 | 株式会社 | 合同会社 |
---|---|---|
定款用印紙代 | 40,000円(電子認証の場合は不要) | 40,000円(電子認証の場合は不要) |
定款認証手数料 | 30,000円(資本金100万円未満) 40,000円(資本金100万円~300万円未満) 50,000円(資本金300万円以上) | 0円 |
定款の謄本手数料 | 約2,000円(250円/1ページ) | 0円 |
登録免許税 | 150,000円または資本金額×0.7% どちらか高いほう | 60,000円または資本金額×0.7% どちらか高いほう |
合計 | 222,000円~ | 約100,000円 |
設立後の手続き
無事に登記申請が完了し、株式会社が登記されるといよいよ事業開始です。
その前に、各行政窓口などへの届出の手続きが必要になります。無事に設立できた安心感で意外と忘れがちですのでご注意ください。
ここでは必要な手続きをざっくり記載します。
- 銀行口座開設⇒口座開設したい銀行
- 法人設立に関する届出⇒市区町村
- 税務に関する届出⇒都道府県税事務所、市区町村の各税務署
- 社会保険に関する手続き⇒年金事務所
- 雇用保険に関する手続き⇒ハローワーク
- 労働保険に関する手続き⇒労働基準監督署
お分かりのように、法人設立後の手続きも意外と多いです。
まとめ
以上、株式会社の設立の流れを解説しました。
日本政府が起業・スタートアップを推進する「スタートアップ5か年計画」を掲げたように、起業・スタートアップは非常に注目を集めていますし、サラリーマンとして働いていても副業を認める流れも広がってきています。その中で、株式会社の設立というのは今後より身近になってくるのではないかと考えます。
「起業して株式会社を設立したい」とお考えの場合には、ぜひ本記事をご参考にしていただけたら幸いです。
また、当事務所では「設立したい!」といったアイデアの段階から、具体的な会社という形にしていく過程のご支援ができます。ぜひ気軽にお問い合わせください。